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  • 執筆者の写真nobuhiro nagai

結局はヒトの問題だったのか?

キャロウェイの2020年モデルであるマーベリックのPR動画から、ドライバーの進化を考えるという話し。昨日に続いての2回目です。 1980年代の代表として1982年モデルのパーシモンヘッドから打ち始めて、2020年2月発売のマーベリックまで、1990年頃に生まれた2人のヨーロピアンツアー選手が試打をするという企画。

ツアー選手と言えどもパーシモンヘッドには手こずりキャリー210ヤード。マーベリックはキャリー300ヤード。その差はいかんともし難いです。 しかし、これはパーシモンが飛ばないのではなく、打つゴルファーがそれだけ出力を上げられなかったという事でしょう。 たしか、私がゴルフを始めたころ(40年前)は、メジャー戦の全米プロ選手権の開催時に全米ドラコン選手権が行われていたと思います。全米プロには出場していないドラコン選手も集まってのドライビングコンテスト。今はラスベガスで世界チャンピオン決定戦が行われていますが、その前身だったのでしょうか? その様子を伝えるゴルフ雑誌の記事を見た覚えがありますが、優勝選手はたしか330ヤードくらいは飛ばしていたと思います。 試合中でのロングドライブ記録としては、ジャック・ニクラウスがセントアンドリュース・オールドコースで開催された全英オープンの18番ホールでドライバーを強打したら、グリーンをオーバーしたというのがあります。 2015年に私はオールドコースをプレーする機会を得ましたが、その際、18番はドライバーを打って2打目は70ヤード残ったと記憶しています。今はバックティからだと350ヤードくらいのホールですから、ニクラウスの強打はリアルにキャリー300ヤード以上は出ていたと思われます。 ですので、クラブが飛ばないという訳ではなく、打ち手の問題として「そこまで飛ばすパワーを持っているか?」というのが先ずありきですが、それだけの出力とミート率が同居しなければなりません。そのミート率の確保と出力の兼ね合いが、その時代の技術のスタンダードとなる訳です。 なので、キャロウェイのPVを見ると、現代の大型チタンヘッドドライバーを基準としての出力とミート率を技術として身につけたツアー選手としては、同じような出力でパーシモンドライバーを打つ事が出来なかったという事でしょう。 そしてミート率と密接な関係があるのは、ヘッドの慣性モーメント(スイートエリアの大きさ)です。今回、マーベリックはスイートエリアを外れても曲がらないというのをアピールしていますが、慣性モーメントとAIを使ったフェース構造によるものか?と思います。 このPVの結論としては、1980年代のパーシモンからスタートして、クラブを変えながらゴルファーがスイートエリアの大きさなどにより「曲がらない」と感じる事が出来れば、ゴルファーはスイングの出力を上げられて、それによってボールが飛ぶようになっていくという関係を、見て取る事が出来たとなるでしょう。 なのでマーベリックの「曲がらない」は「飛ぶ」につながると言うのが、キャロウェイの伝えたい事か?と思いました。クラブが「飛ぶ」のではなく、ゴルファーの「飛ばしを引き出す」クラブと言えるのか?と感じます。 私の師であるクラブデザイナーの竹林隆光さんが、まさにパーシモンヘッドから金属やカーボンなど異素材のヘッドに進化する過程で一番取り組まれたのがヘッドの慣性モーメントの数値を上げる事。 ゴルフクラブの「やさしさ」という言葉は適切でないかもしれませんが、打ち手であるゴルファーのパフォーマンスに一番関係があるのが慣性モーメントと言えるのではないでしょうか? そして体力に見合った長さや重さをマッチさせるのが、適正な状態となり、そこにはどれだけの出力を目指すか?という目標値があるのでしょう。 その出力の目標値を高めに設定するのが「飛ぶ」ドライバーの定義になるので、それを受け入れ難く感じるゴルファーが居るのも事実。最新ドライバーのトレンドと逆方向に向かう方も見られます。 それは採点競技の様なマネジメントを当てはめると、理解できる気がします。羽生結弦選手ですら、毎回難易度の高い4回転ジャンプや新技にトライするのではなく、確実に飛べるジャンプで完成度を高めて加点を取るなど、全体の構成でのマネジメントで演技を組み立てる訳です。 そういうトレンドと逆方向に向かう方の声とは、ゴルフというゲームトータルでのマネジメントと「飛ぶドライバー」の関係をよく考えよう!という事になるか?と思います。 誰もが4回転半ジャンプが出来る訳ではないので、たしかにその通りだと思います。


一方で、せっかくゴルフクラブメーカーが、自分の出力を上げる事が出来る可能性を拡げてくれているのだから、それにトライしないのももったいない気がします。


そしてその可能性にトライするには、そのクラブを打ちこなす努力を、ゴルファーがやらなければなりません。


そのパフォーマンスの具現者たるのが、今回のPVに登場した、現代の最新ギアを使いこなして第一線で活躍するツアー選手となるでしょう。


今回の試打者ふたりは1990年頃に生まれていますから、ゴルフを始めた時にはもうかなり大きなチタンヘッドのドライバーを手にしていると思われ、その結果、高い出力でのゴルフスイングを身につけています。


私は、この大型チタンヘッドが導いた高出力のゴルフスイングを「現代的なハンマー型スイング」とし、我々世代が身に付けた「近代的なムチ・振り子型スイング」と分けて考えています。


そして今、自分でも「ハンマー型スイング」へのアップデートにトライしています。


今日の午後は、ハンマー型スイングをリードする、あのメーカーの新製品試打があるので、ちょっと楽しみにしています。


ゴルフのゲーム的トータルマネジメントから見たベストドライバーと、自分の最高出力に挑戦するドライバーの、2つがマッチする事もあるか?と思いますか、私も長く使ったモデルを思いおこすと、ゲーム的トータルマネジメントへの信頼感がその理由になる気がします。


なんだか答えが見つからない感じになって来ましたが、毎年、新しいドライバーが登場する事だけは間違いありません。


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