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執筆者の写真nobuhiro nagai

もはや古典ネタ?「クレバスを渡る話し」とは

昨日から日常モードに戻りましたが、もう二月は折り返し地点ですね。しかし、今日も二月とは思えない暖かさです。


朝のワイドショーを見ていると新型肺炎もいよいよ拡散か⁈という段階ですが、悩ましい花粉も飛び始めているでしょうから、マスクのありがたみはダブルとなりますかね。


駅や電車内を見渡すと、マスクの着用率はだいぶ上がった感はありますが、まだまだ未着の方も多く目に着きます。もちろんマスク不足も影響していると思いますが、この先どうなるのか?不安になります。


さて、先週からの5日間の沖縄を振り返ると、いろいろと学ぶ事がありました。私は左肩の不調により5日間の完走は無理か?と思いましたが、4日目と最終日に数ホールづつノンプレイでの帯同を行った程度で、とりあえずは毎日ゴルフが出来ました。


やはりウォーミングアップ無しでスタートして行くと、朝イチのドライバーショットはランが出て200ヤード程度。でも、途中ほぐれて来て振れてくると230ヤード辺りまで行くので、だいぶ回復して来ました。


230ヤードくらい打てれば、白マークからなら問題無いです。風の強かったバニアンのフォローで270ヤードというのがありましたが、今回の最長不倒。久しぶりの飛距離でした。


多用したゼクシオ Xの5番ウッドにコブラの7番ウッドも、わりとグリーンオーバーしていく事があったので、左肩もそれなりに回復してヘッドスピードが上がって来ていると思われます。


私の場合、厚く当たるとインパクト効率が1.5出るので、効率のいい飛ばしとなるのですが、その時はやはり左上腕から肩にかけては軽度の痛みが走ります。筋肉に負担がかかっているという事でしょう。


4日目の朝はかなり筋肉が固くなってハリを感じたので、結果的にはこの日に数ホールでもやらなかったのは正解だと思います。


そんな訳で、日に日にクラブが振れなくなって行ったのですが、飛距離が落ちる事はありませんでした。


それは途中からクラブを振るのではなく、スイング動作の中でベクトルを使いこなす様に意識したからだと思います。


始動からのスイング動作に矢印を付けて、その矢印の組み合わせで、ターゲットラインという絶対的な矢印に向かってボールを打つという事にトライした訳ですが、これがまさにハンマー型です。


私が高く評価しているテーラーメイドの新作SIMシリーズ「SIM MAX」は、そのターゲットラインとは違う方向への矢印をイメージさせる形状で重心特性もそれに比例していると思います。


そしてその視覚的に訴求してくる部分のソール側に空力のデザインを施しているので、後はいかに自分がそのヘッドが示す矢印と違う方向の矢印を加えて、ターゲットラインへの矢印を作るか?という事になります。


こうなると、その矢印方向へ直進して貰わないとなので、いわゆる「操作性がいい」という表現は必要無くなりますね。


この絶対的なターゲットラインに対して、矢印を重ねていく技術と、別方向の矢印を合成してターゲットラインへの矢印を作ってい技術の違いの参考になるテキストがありました。


たまたま、今朝、私のFacebookページの「過去の思い出」で出て来た一年前の記事です。


以下、要約します。



〔 2019.2.14 Facebook記事より〕


クラブの進化とスイングの関係という視点で、現在のゴルフ界を見た時に「一体何が起こっているのか?」というのを、クラブデザイナー故竹林隆光のDNAを受け継ぐ同志、松吉宗之(ジューシー株式会社代表・クラブデザイナー)語り合った話しの前編を要約すると、


永井(以下N)「クラブメーカーが新しくドライバーを発表する度に『前作より何ヤードアップ!』とやっているけど、あれは間違いではなかった。ゼクシオは10代20年。それが本当なら30ヤードや40ヤードは伸びているけど、殆どのゴルファーはそれを体感出来ていない。でも、キャメロン・チャンプが出てきて、最新のドライバーを手にして圧倒的な飛距離を見せていると言う事実は、『クラブがスイングを作る』という竹林理論から見たら、クラブメーカーの行ってきた開発というのは、嘘ではなかったと言えると思う。」


松吉(以下M)「それを説明するのに、面白いたとえ話しがあるんですよ。」


ここまでが前編でした。いよいよ、ここから先が後編です。


《永井&松吉談義・後編》


N「そのたとえ話しとは?まだ聞いてないですね。」


M「目の前にクレバスや谷があります。与えられた命題は『無事に向こう側に渡ること』です。これをクリアするのに、ロープを張って綱渡りの様に渡る人がいました。すると、今度は体操の平均台くらいの幅の木を掛けて渡る人が現れました。そして、今度は1メートルの幅くらいの橋を掛けて渡る人が出て来ました。これが、今の状況を説明するのに、よく当てはまる事例だと思います。」


N「なるほど。命題は『無事に向こう側に渡る』で同じだけど、そのやり方や流儀が、使用するツールによって全く変わるという事ですね。」


M「そうなんです。命題は『無事に向こう側に渡る』です。けして早く向こう側に渡る事ではないんです。」


N「綱渡りの達人は『ロープを敏感に感じるには素足がいい。けして急ぐな。ゆっくりと一歩づつ確実に踏み出せ。出来たら物干し竿の様なバーを手にしてバランスを取ればベター。焦るのは絶対に禁物。』と言うでしょうね。そして、平均台渡りの達人は『表面が少し滑るから、ゴム底の滑らない靴を履くべきです。そして身体の軸を意識して、リズムよく進めば大丈夫です。』と語ります。」


M「そんな感じですね。」


N「そしてそこにチタン合金で出来た1メートル幅の橋が架かった。チタン合金の橋は、ややたわみがあるので、最初は皆『揺れて怖い』『折れてしまいそうで不安』と言っていましたが、そのうちに、そのたわみを利用して三段跳びみたいにホップ・ステップ・ジャンプで一気に駆け抜ける人が現れてしまった…!」


M「そうなんです。しかし命題は『無事に向こう側に渡る』なんです。」


N「綱渡りの達人は、チタン合金の橋を三段跳びで渡る人を見て『なんであんなに急いて渡らないといけないの?人生と同じ、ゆっくり行けばいいじゃない!』と言っていますが、チタン合金の橋を三段跳びで渡る人には『ゆっくり渡る』必要性がそもそも無いので、綱渡りの達人が言っている事の意味がわからない。しかし『無事に向こう側に渡る』という命題を満たしているので、その優劣は無いという事。」


M「はい。早く渡れるかどうか?を競っている訳ではないので…。」


N「ゴルフに置き換えると、『無事に向こう側に渡る』は、『自分の意図するところへドライバーを打つ事が出来る』でしょうね。これは飛ばしとは全く関係ない。でも、飛ばす事に意味が無いという話しでもない。」


M「命題である『無事に向こう側に渡る』を満たした時の、渡るのに要した時間がゴルフでの飛距離となるでしょうね。チタン合金の橋を渡る人は、綱渡りの人と同じ時間をかける必要は無いですから。」


N「綱、平均台、1メートル幅の橋。こに3つのツールの安全性の違いは、ゴルフクラブだとヘッドの慣性モーメント(スイートエリアの広さを現す)の数値と捉えていいですかね?」


M「そうですね。それは大きな関連性があると思います。」


N「綱渡りがパーシモン。平均台が350CCくらいまでのメタルヘッド。そして1メートル幅の橋が460CCの大型チタンヘッドという感じですかね?」


M「概ねそんなイメージでしょうね。」


N「あらためて、とても良く理解出来た気がします。私もキャメロン・チャンプから学ぶのは、飛距離アップではなく、バージョンアップを果たしたいと思うからです。かなり自分の進むべき方向性が見えて来ました。」




という事で、松吉さんとの話しは終了です。


これが一年前のバージョンですから、最新バージョンで手直しすると、どうなるでしょうか?


今日の記事にあげた、絶対的なターゲットラインに対して、


ベクトルを重ねていく or ベクトルを合成させていく


の違いは、まさにロープと1m幅の橋の違い。


ミート率と出力の関係に至っては、1m幅の橋の場合、そもそもクレバスに落下して向こう岸に渡れないという事は無いというのが前提になっているくらいの話しです。


我々は日頃谷や川に架けられた橋を、何のためらいもなく渡って行きますが、ゴルフ界ではまだまだ綱渡りの流儀から離れられない層も居ると感じます。


ただし、命題は自分のゲームプランに合わせて、狙ったところにドライバーを打つ事です。飛ばす事ではありません。


最新ドライバーを使いこなすツアー選手たちは、谷や川に架けられた橋を猛スピードで駆け抜けるスポーツカーの様なモノでしょうか?


我々も、体力なりに最高出力の最高スピードで渡っていいよ、と大型ヘッド大慣性モーメントの最新ドライバーからは誘われているので、あとはどうするか?結局はコチラの問題ですね。







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