top of page
  • 執筆者の写真nobuhiro nagai

混ぜるな、危険!

ブログ開設以来、此処まで大きく分けると二つのシリーズで話しを展開して来ました。


その中で現代の460CC大型チタンヘッドの高慣性モーメントドライバーを使いこなす為の技術と、パーシモン&スチールシャフトの頃が基点の技術の違いについて説明支点来ました。


前者を現代型と言うなら、後者を何と呼ぶか…?


これ、けっこうアタマを悩ませる問題です。


ゴルフスイングの歴史を振り返ると、大きな節目てなっているのは、スチールシャフトの登場。


15世紀頃からゴルフの祖先と思われる様な遊びがユーラシア大陸で行われ、16世紀頃からスコットランドで原始的なゴルフがスタートする訳ですが、その頃から1930年頃迄主流だったのが、ヒッコリーシャフト。


金属製のヘッドは早い段階から登場していますが、原始ゴルフ時代の使用球であるフェザーボールの頃は、金属製ヘッドで打つとボールが破損してしまい(今で言うトップのミス)、貴族など富裕層にとっても経済的な痛手となる為、金属製ヘッドのクラブは普及しなかったそうです。


フェザーボールは、当時の熟練した職人の手作業で作られていた為、生産数が少なく大変高価だったとの事。それがゴルフがまだ大衆の遊びとして普及しなかった原因と言われています。


この頃のクラブやボールなどは、セントアンドリュースにあるゴルフ博物館で見ましたが、予想よりかなり長尺のクラブだったのが印象的でした。


そんな原始ゴルフの時代から200年から300年くらいはヒッコリーシャフトのクラブで、ゴルフがプレーされていました。


ヒッコリーシャフト時代の名手がボビー・ジョーンズ。4月に行われるマスターズトーナメントの創始者で、アマチュアとしてグランドスラムを達成した歴史に名を残す名選手です。


ジョーンズのスイングの特徴は、ゆったりとしたダンスの様にクラブを動かします。テークバックをインサイドに引いて、トップ位置は深くややクロス方向に収まり、そこからプレーン方向にループさせてインパクトへ向かうという、クラブの運動量が多いスイング。


折れやすい木製シャフトに対して、負荷を掛けずにヘッドスピードを上げる為の技術と言われています。


彼は1930年にグランドスラムを達成したその年に、28歳で競技者を引退します。そしてマスターズトーナメントを始めたのが1934年。第1回目のマスターズは、オーガスタ・ナショナル・インビテーション・トーナメントとしてスタートしています。


そしてちょうどこの頃からゴルフクラブのシャフトがスチールへと変わっています。1914年にスチールシャフトは市場に登場し、USGAがその使用を正式に認めたのは1926年。


ボビー・ジョーンズは、ある時折れたマイクラブのシャフト交換に際し、何百本ものシャフトを試したと言われでいますが、それだけヒッコリーシャフトとスイング技術のマッチングは繊細で、それが彼の技術を支えていた訳です。


なので、私が思うにボビー・ジョーンズ引退の理由として、直ぐ目の前に迫るスチールシャフト全盛の時代に対して、エリートクラス競技レベルでの技術対応を諦めたと見る事も出来るでしょう。


同時期にスチールシャフト移行期を経験した、バイロン・ネルソンは、まだプロゴルファーとして駆け出しの頃で、


「打てども、打てども、シャンクしか出なかった。涙が出て来たが、ゴルフで生きていくと決めたので、歯を食いしばって練習を続けて、スチールシャフトの打ち方を会得した。」


と当時を、振り返っています。


たしかに、しなり戻りや捻れの量は、スチールシャフトよりはるかに大きそうなヒッコリーシャフト。


となると、インパクト感覚としてはフェース面スクエアに対してかなり手元を右に向けてインパクトポジションを作る必要があるでしょう。


なのでそれと同じインパクト感覚で手元を合わせていたら、強靭なスチールシャフトでは全てシャンクになるのは理解出来ます。


この様な過渡期を経て、バイロン・ネルソンの身体を回さない直線的なスイングに、ベン・ホーガンのオン・プレーン理論。さらにはサム・スニードの強靭な身体を生かしての強打のスイングへと変わり、それを受け継いだアーノルド・パーマー、ジャック・ニクラウス、ゲーリー・プレーヤーの時代へと流れて行きます。


このスチールシャフトを打ちこなす技術の具現者が活躍する時代を、近代ゴルフと定義する事は出来ると思います。


今のゴルフ界のスタンダードは、この近代ゴルフの中で醸造されており、レジェンドと言われる名選手達もこのスタンダードの具現者です。


その一方で、460CC大型チタンヘッドに軽量グラファイトシャフトの組み合わせをスタンダードとする具現者が現れて来ているのも事実。


私が10月のZOZOチャンピオンシップ観戦で感じたのがまさにそれで、その感想を基にしての講話を先日行いましたが、演題は「混ぜるな、危険!」。


習志野カントリークラブでUSPGAツアー選手のプレー振りを見て感じたのは、現代型の技術を近代型のスタンダードで説こうとするのが、果たして本質を捉えているのか?という疑問です。


我々は、新しい時代のスタンダードを、今までのそのバイアスから逃れたところでしっかりと考えて、提起していかねばならないという想いを伝える講話でした。


さて、話しをまとめて行くと、460CC大型チタンヘッドを基点とする現代型スイングに対して、このブログではパーシモン&スチールシャフトを基点とする技術を近代型スイングと呼ぶ事にします。


そしてさらにそれを


ハンマー型(現代型)


ムチ・振り子型(近代型)


と分けて、これから説明して行きたいと思います。















閲覧数:60回
bottom of page