• nobuhiro nagai

V字回復への願いを込めてMOIを考える

昨夜は20時より東京都小池知事の緊急会見がおこなわれ、週末の行動自粛要請が発表されました。私は埼玉県民ですが、「いよいよ首都封鎖か⁈」と思いましたが、昨夜の会見はその手前の段階に感じました。 会見の様子を見ると、以前よりはかなり具体的な行動規範を述べており、より強い危機感が伝わりました。私はこの週末は関西出張レッスンです。感染拡大防止に努めながら、仕事をさせて頂きたいと思います。 さて、今日は3月度の茨城県オールドオーチャードゴルフクラブSNS研修会です。今回のテーマは「背中側にクラブを預けてインパクト~腰の回転で打つ」となります。 これの説明で、本当のハンマー。和名だと掛矢(かけや)ですが、いよいよ購入しようか?と思い、昨日は夕方から出かけて自宅近くのホームセンターに行きました。


しかしそこにあったのは、先日別のホームセンターで見たハンマーとはだいぶ長さや重さが違い、あまりゴルフスイングとは融和性が無いと感じたので、購入は見送りました。 昨日は自宅での作業の箸休め的に、たまたまFacebookのタイムラインに出てきた横田真一プロのYouTubeチャンネルで「今、どんなことに取り組んでいるか?」を語る片山晋呉プロの動画を見ましたが、片山プロらしく現代的な原理原則をトッププロらしいい草書的な表現で説くのはとても面白かったです。 私の表現で言うところの、リア側の使い方やクラブと身体が動く方向の矢印の掛け合わせでつくるテンションなどが、そこにあるのが確認できました。 大きく括ると、この動きは「ハンマーをいかに効率よく振るか?」に落とし込めるので、それもあってハンマー(掛矢)を買いに出たのですが、結局、トイレットペーパーを買って帰りました。 このハンマー型のゴルフスイングへの扉を開けたのが、昨日の記事で取り上げたヘッドの慣性モーメントの数値の向上です。 今月号(5月号)の月刊ゴルフダイジェストの企画で、ジューシー株式会社代表松吉宗之さんとのコラボし、慣性モーメントに関する記事が紹介されています。昨日のブログでは、その内容を紹介しながらの記事としました。 そして、昨日に引き続いての内容で、慣性モーメント科(MOI)の数値と曲がり幅のグラフをもとにして、ちょっと深堀りしていきたいと思います。このグラフでは、ヘッド左右方向のMOIが横軸で、ミスヒットをした時の曲がり幅が縦軸です。


昨日はたまたま松吉さんの会社のウエッジ「EX1806 Wedge」のオーダーが入り、その確認で松吉さんと電話でやり取りしたので、その際に今日のブログねたを仕込ませて頂きました。 先ず、このMOIの数値をヘッドサイズに落とし込むと、どうなるか?を尋ねたら、ヘッドサイズの体積を表す数値にゼロをひとつ足すのが、ヘッド左右方向のMOIの数値の目標値となるとのこと。 パーシモン時代だとヘッドサイズが体積180㏄でMOIが1800g㎠。250㏄の大型ステンレスメタルでMOIが2500g㎠。300㏄の初期チタンヘッドでMOIが3000g㎠。そして現代的には460㏄でMOIが4600g㎠となります。 しかしながら、このグラフは漸近線なので、4600g㎠を過ぎると今までの様な割合での効果が感じられません。故に記事の中の松吉さんのコメントにある様に「4500g㎠を越えれば十分」となる訳です。 現代の460㏄大型ヘッドに対して、上手くマッチング出来ないツアー選手がよりどころとするのは400㏄辺りから430㏄のサイズのヘッド。数値だけ見ると何だかずいぶん小さいヘッドだなと感じると思いますが、MOIの数値的に考えれば、かなり恩恵を受けています。 ここでひとつ、見えてくる問題があります。現代のツアー選手のドラインビング飛距離に関するレポートが、昨年あたりからR&AとUSGAで議論されており、近々それをまとめて今後の方針が示される予定です。 そこでの議論で出てくるのが、現代のツアー選手のドライビング飛距離を抑える方法論です。現状のルールでは、クラブ長さとMOIの数値に関しては規制があります。これはある意味、ドライビング飛距離の抑制を担っているでしょう。 もちろんフェースの反発係数もありますね。いわゆる高反発クラブを使うのは違反行為となり、R&Aのオットー博士に言わせると「高反発クラブ(違反クラブ)でのプレーは、足でボールを蹴とばすのと同じ」と糾弾しています。 しかしながら、ここ最近では、反発係数のテスト方法のグレイゾーンをついた開発が行われており、「初速が出る!」と評判です。 話しをもとに戻すと、ツアー選手のドライビング飛距離を抑制する方法論が、現在議論されている訳ですが、そこで出てくるのが「プロ専用ボール」。ボールの重さや反発性能などを規制することで、いわゆるツアープロ専用の「飛ばないボール」を用意するという論調もあります。 その議論を、ヘッド慣性モーメントの数値で規制するとなると、どのくらいか?という疑問が湧きました。現状、この方向での規制に関してのレポートは目にしていません。 そこで松吉さんに、この疑問を投げかけてみたた「おそらく、4000g㎠未満のMOIなら、芯に当てるという技術の優劣が出てくると思われるので、ドライバーのヘッドの大きさを400㏄未満で規制すれば、今よりは出力メインの傾向が抑えられて来るのでは?と思われます。」とのことでした。


長いゴルフの歴史の中で、今大きく変わっているのが、「芯に当てる」と「出力を上げる」のバランスです。このきっかけとなったのは、反発係数やボールの進化でもありません。長尺クラブは、その恩恵を得るためには芯に当てる技術との関係が深いと思います。


R&AやUSGAが、この問題を議論する要因のひとつに、ゴルフコースとの関係があります。マスターズが開催されるオーガスNGCの様に、選手たちの飛距離アップに対して毎年コース改造を施すのはオンリーワンで、メジャーが開催される殆どのコースでそれを行うのは不可能です。


となると、「飛距離を規制する」は「出力を制限する」となり、そこに一番深く関わっているのがMOIの数値だと思うので、ダイレクトな関係性といえます。


まあ、「出力を上げる」も勿論技術の範疇で、ゴルファー自身の努力の賜物であるのは間違いないのです。しかしそこに「テセウスの船」ではないですが「今までと全く違うモノになっていないか?」というのが、その議論の正体でしょう。


日本人選手が活躍するスキーのノルディック複合競技は「キング・オブ・スキー」と称されます。ジャンプとクロスカントリーのコンバインドで争われる競技ですが、この評価のバランスが大きく変わったら、それは従来の複合競技ではないとなるでしょう。


そのジャンプ競技も飛型点と距離による加点のふたつのスコアで争われますが、より距離を稼ぐ方向でV字飛行へと技術が変わっています。当初、V字飛行は飛型点の減点対象でしたが、結局全てのジャンパーがV字飛行を採用したので、それも無くなりました。


昨日の片山プロを筆頭に、ゴルフ界は今、V時飛行への過渡期なのでしょうか?


板を揃えて直立不動の前傾スタイルで飛んでいたジャンパーは、V字飛行を見て、


「あんな手足広げてみっともない!」


と、最初は思ったでしょう。


先ずは何より、この新型コロナウイルスによる停滞からのV字回復が望まれますね。


明日もまた、MOIの話しにしたいと思います。



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