nobuhiro nagai
秩父にはトム・ワトソンが始めて設計したコースがある
本日は私の地元、埼玉県秩父市の彩の森カントリークラブにて、令和二年の初打ちを行なっております。
このコースは、バブル期にあのゴルフ界のレジェンドであるトム・ワトソンが最初に設計したゴルフコースというふれこみで「ザ・フォーラムCC」として平成元年10月に開場しましたが、その後「セントヒルズGC」に経営が変わり、平成15年よりアコーディア傘下に加わって現在に至ります。 ゴルフコースデザイン的には、日本の中でも寒暖激しいい秩父盆地の気候を鑑みて、あえてワングリーン設計とせず、2グリーンでのコースデザインをあのトム・ワトソンが採用したというのが、当時としてはとても驚きのニュースでした。 2グリーンのゴルフコースというのは、グローバルスタンダード的には存在せず、あえて言うならテンポラリーグリーンという仮設グリーン的な概念です。これは日本でも川奈ホテルゴルフコースやフェニックスCCで採用されています。 いわゆる昭和の高度成長期に増殖したゼネコン主導のゴルフコース設計によるのっぺりとした2グリーンのゴルフコースは、日本のゴルフ悪のひとつと揶揄されます。 たしかにそれは否めない感もありますが、私の居住エリアの中でも川越カントリークラブや赤城国際カントリークラブ。そして私のメンバーコースである岡部チサンCC美里コースなど。その2グリーンをセパレートしてのコースデザインを取り入れているゴルフ場もあります。 年末には日本のゴルフ場トップ100ランキングなどもゴルフ雑誌で発表されましたが、その中のひとつのカテゴリーで、2グリーンのセパレート設計のゴルフ場ランキングがあってもいいいのでは?と思います。 そういう意味では、私のおススメは赤城国際CC。これは竹林さんが群馬県内でナンバーワンと評したゴルフ場でもあります。高原の緩やかな起伏の中にデザインされたホールは、見事に2WAYにセパレートされており、いわゆるツインベッドルームの様にのっぺりと二つのグリーンが横に並ぶ2グリーンデザインのゴルフコースとは違います。 昨年、日本オープンが開催された福岡の古賀ゴルフ・クラブは、メイングリーン+テンポラリーグリーン系の2グリーンだと思いますので、先にあげた川奈ホテルゴルフコースやフェニックスCCと同カテゴリー。 このテンポラリー系2グリーンに加えて、赤城国際や川越CCの様なセパレート設計の2グリーンに、井上誠一さんが設計したツインベッドルームの様にふたつのグリーンが並ぶ2グリーンと、一口に2グリーンと言っても3つのカテゴリーに分けることが出来ます。 その中で、彩の森CCはセパレート設計の2グリーンとツインベッドルーム的なデザインが同居していますが、フィロソフィーとしてはそれぞれふたつのグリーンをターゲットとしての別のゲームが堪能できます。 私がベストホールと思うのは、13番パー5の左グリーン。2打目から左グリーンはかなり打ち上げていくデザインですが、その山登りの果てに置かれたグリーン形状が見事。3ショットの中にそれぞれのドラマを感じる、日本でも稀有の名ホールだと私は思います。 それでも全体的にはワトソンの「コレクション・バンカー」というコンセプトが効いていて、たしかに18ホールプレーしていると、ガードバンカーによく入ります。 またアウト4番パー3の右グリーンには、グリーンの中にバンカーがあるデザインが採用されていて、これはロサンゼルス郊外の名門コース・リビエラCCを思い起こさせます。ワトソンの何らかのリスペクトでしょう。 私がリビエラCCをプレーさせて頂いたのは、2016年の11月上旬。前回の大統領選挙を直前に控えた時でした。 この日は、リビエラCCの日本人メンバーさんのゲストとしてプレーさせて頂きましたが、たまたまそのメンバーさんのクラブ仲間であるハリウッドスター、あの刑事スタスキー&ハッチのスタスキー役ポール・グレイシャーさんとご一緒させて頂きました。
リビエラCCはいわゆる河岸段丘の中にデザインされていて、ベースは川底に近いフラットなエリアをプレーしつつ、ひとつ上の階層にあるクラブハウスのエリアをプレーイングエリアに取り込んだ設計が印象的でした。 USPGAツアーで一番短いながら、一番難しいと言われている10番パ―4でバーディーを取れたのは、嬉しい思い出です。 そんな世界トップ100ランキングに入るコースのシグネチャーホールを模したパー3を持つのが、秩父にあるトム・ワトソンの処女作ですが、現在はアコーディアグループとなり、リーズナブルな値段でプレー出来るカジュアルなコースとして運営されています。 そのせいか、ワトソンが作ったパンチを効かせたグリーン形状でスムーズなプレー進行を促すには、グリーンのスピードを遅くせざるを得ないのか?いつ行ってもグリーンの状態はベリースロー。 しかしながら、そのグリーンに翻弄されるのがこのコースの特長。今日もそんな感じのゴルフを堪能しています。 とりあえず、ここにはちゃんとトム・ワトソンのスピリットがあるので、そういうのが好きなゴルファーは、一度訪れてみるべきだと思います。