• nobuhiro nagai

相手が強くなっている

ゴルフスイングの本質を「クラブとのやり取り」と考えて、それに2部屋という概念を与えたら、かなりスッキリしたというシリーズの中で、左1軸スイングと言われる理論の話しが出て来ました。


この流派で一番有名なのはマイケル・ベネットとアンディ・プラマーが提唱した「スタック&チルト」でしょう。ゴルフダイジェスト社から和訳されたレッスン本も出ました。


この頃にタイガー・ウッズを指導していたショーン・フォリーも、この2人の影響を受けていたと言われています。


他にはオーストラリアのレジェンド的プレーヤーのオジー・モアの理論もこの流派に含まれると思います。


オジーの場合は、メルボルンの風が強く地面の固いリンクスコースで腕を磨いた結果、そういうスイングと理論が形成されたという説をオーストラリアの友人から聞いた事があります。


ですので、突然変異的に急に生まれた訳ではなく、ゴルフクラブの変化やフィールドの進化に、ツアー選手のアスリート化などとマッチして、そういうゴルフスイングへの考え方が時代にフィットしたという事だと思います。


この頃、私が感じたのはボールの低スピン化との関係。ソリッドボールがメインになってから、ボールの進化は「ドライバーショットの低スピン」と「アプローチショットの高スピン」という、両極に位置するふたつを命題として進んで来ました。


その中で、アイアンショットにおける適正スピン量というのはないがしろにされ、ツアー選手でもアイアンの低スピンを感じてロングアイアンを難しく思うようになり、ハイブリッドクラブ(ユーティリティークラブ)へと移行したとも言われています。


なのでアイアンの低スピン化が、左1軸スイングのターフをしっかり取る様なヘッドの入れ方とマッチしたのでは?と思いました。


ゴルファーがアイアンを打つ時に、自分でスピン量を確保する必要が生じて来たので、インパクトでヘッドの入る角度をやや上から入れる様に変化したと考えられます。


クラブとのやり取りという基準で左1軸スイングを考えると、ゴルフクラブという相手が強くなったと言えます。


相手が強くなると言われてもピンと来ないかもしれませんが、これはゴルファーがクラブを振った時に、クラブからゴルファーに対して働きかけて来る力が強くなったという事です。


作用反作用の反作用として説明するのはチョツト短絡的過ぎると思いますが、ゴルファーからクラブへの一方通行ではなく、必ずクラブからゴルファーへ何らかの働きかけがあるのは理解しないとです。


わかりやすい例だとヘッドスピードが生む遠心力。女性初心者ゴルファーが上達して行く過程で、ミート率が上がって来た次の段階でクラブがシャープに振れる様になるのと同時に、クラブの遠心力が今までよりも強く働き、身体がブレてしまい当たらなくなる事があります。


こういう場合「クラブという相手が強くなったんですよ!」と話して、その強くなった遠心力に負けない身体の使い方を覚えて貰い、ヘッドスピードを上げながらもミート率を落とさない様にコーチングします。


ゴルフクラブは軽量化が進み振りやすくなった訳ですが、ヘッドが大型化した事により、棍棒からハンマーへと、道具としての原型を変えて来ているという記事は、以前2回にわたり説明しました。


その大きなヘッド故のシャフトから離れた重心位置が生むトルクやトゥダウン現象などが、ヘッドがプレーンから外れることやインパクトで手元が浮き上がったりなど、ミスの原因となる訳です。 そのクラブを振っているゴルファーに対してミスを誘発するチカラが、以前の小さいヘッドの頃より強くなったというのが、大型ヘッドのデメリット。


メリットはいわゆる慣性モーメントが大きくなってスイートエリアが広がり、ボールが曲がり難くなったのと飛距離をロスし難くなったと言う事。


クラブデザイナーの竹林隆光さんは、常にこの事を仰っていて、デメリットをゴルファーが努力して克服できれば、メリットが享受出来るという理念の元に、新規性の高いゴルフクラブの開発を続けられました。


ただし、ゴルファーが努力しても克服出来ないデメリットもあって、そういうクラブはいつの間にか市場から消えていっています。


話しを元に戻すと、大型ヘッドのデメリットである、クラブヘッドがシャフトに対して負荷をかけてミスを誘発するという事への対応が、左荷重を大きく意識するという事だと思います。


これが、左1軸スイング理論台頭の背景ではないか?と私は推測しています。


そんな事を理解して頂けると、ゴルフスイングにおける身体の動かし方を2部屋で考えると、そこで何が起きているのか?よく分かると思います。

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