• nobuhiro nagai

しぶこ流ハンドダウンのメリット

今は亡きゴルフクラブデザイナーの竹林隆光さんは私の恩師。今から25年前にレッスンを始めた頃から何かと目に掛けて頂き、ゴルフだけでなくいろいろな事を学ばせて頂きました。


その中でも竹林さんからよく言われたのが、


「ゴルフスイングを三次元で考えられる様になりなさい!」


でした。


その言葉から、重心や軸を基準として動作や現象を見る様になり、その頃から現在まで「入れ替え動作」は自分の中のスタンダードとなっています。


大切なのは、ゴルフスイングの理論として祀りあげない事でしょう。常にスポーツ動作や現象、運動として客観的に見る眼が必要だと思います。


さて、そんな3D的なゴルフスイング考察に最適なツールが扇子です。


先ずは扇子がどの様な動き(仕事)をするか、考えてみましょう。


最初は扇子を開いて右手に持ち(右利き設定です)、パタパタと仰ぐ動作。自分の方に風を送るため内側に返すのが内旋。扇子を伏せる面の使い方です。


その反対の予備動作として外側に返すのが外旋。扇子を開く面の使い方となります。


この組み合わせが一次元。ちょうどこの前腕の回旋動作については、鈴木タケルプロが東海大学准教授の一川大輔さんと共著された「ゴルフ新上達法則」の冒頭で説かれています。


これがナダルのゴルフスイングの「テニスっぽさ」となり、テークバックの頂点(画像がソレです)から、扇子の面を背中側に開きながらダウンスイング時のシャフトプレーン方向に倒していく右前腕の外旋動作となります。


ナダルの場合はテークバックの頂点まで、右前腕の内旋により扇子の面を伏せたまま振りかぶって行くのが、テニスのバックハンドストロークから来た動きと思われます。


次に扇子を閉じて(たたんで)開くという動き。これは扇子の構造から見ると、扇子を開いた時の両端にあるのが親骨(2本)で、その間の多数の中骨も併せて要で閉じる事支点を作り、開閉の機能を備えています。


扇子を閉じた時は親骨が重なるので、その際の2本の親骨が作る角度はゼロ。扇子を開いた時は個体差はあるのでしょうが最大170度位まで2本の親骨が開くか?と思われます。


この0度〜170度までの親骨の開閉が、また一次元です。


この方向の動きは、ゴルフスイングで言うところのコックやヒンジと言われる動作です。


アドレス時よりも手元が浮き上がってしまうスイングを、この角度で評価するデータもありましたね。いわゆる完全に手元が浮いて左腕とクラブが一直線になってしまうインパクトでは、この角度が180度となり、扇子だと要が壊れてしまいます。


たしか、一流選手と言われるツアープロの平均値は、インパクト時に左腕とクラブが作る角度が150度か160度以内に収まっているという定量的データを説いているのを見た事があります。


また元ドラコン世界一のジェイミー・サドロウスキーのスイングは、切り返し時に手首の角度が30度位まで閉じるので、それがインパクトにかけて戻る際の大きな角速度が飛ばしての秘密とも言われています。


一方で、多くの悩めるアマチュアゴルファーに何が起きているのか?を考えると、テークバック時のハーフバック(クラブが地面と水平)を過ぎて頂点を迎えトップ位置へと収まり、切り返してダウンスイングに向かうと言う一連の動作の中で、扇子を開閉する際の角度の量や方向のコントロールを失っているというのが実像です。


この様に、扇子の親骨を開閉する方向の動きは、ゴルフスイングの肝であり、さらには肘の曲げ伸ばしの角度も加わってしまうと、その解を得るのは極めて難しくなります。


従来のゴルフ理論から、この辺りについてのキーワードを拾うと、


「トップで左腕を伸ばせ」…肘の曲げ伸ばしによる不確定要素の排除

「アーリーセット(早目のコッキング)」…ハーフバック以降の扇子の開閉はコントロールが難しい

「テークバックはゆっくり」…低速で動作する事でクラブのうねりによる不確定要素を減らし自分の運動も制御しやすい

「切り返しでコックを解かない様にタメを効かせる」…ゼクシオ10.11の開発コンセプト


これらは、仕組みから考えると、的を得ているアドバイスだと思います。


ナダルのテニスっぽいゴルフスイングはその親骨の開閉方向の動きがほぼゼロで、面を伏せながら上げて頂点から背中方向に開いて扇子を倒すのが、いわゆるシャローなスイングの仕組みとなっています。


これに扇子が上下に昇降する一次元が加わっての三次元となりますが、二本の親骨に対してどの様に付加をかけるかによって、中骨が作る面が撓む方向の凹凸もありますし、全ては扇子が動く際の重心や軸線が安定しているのがを前提ですが、ゴルフスイングにおいては扇子がフラフラしながら動いている方が殆どでしょうから、極めて難解な動作となります。


さて、ここて今日の結論であるハンドダウンのメリットについてです。


渋野選手も昨年迄はハンドダウンではなく普通に構えていたどの事ですが、結果インパクトでは伸び上がる癖があり、それをコーチが頭を手で押さえてスイングさせる練習で伸び上がらなくなったとのストーリーは、ゴルフ雑誌で何度となく目にしました。


これは「伸び上がる」という身体動作を制御したのではなく、扇子の親骨の開閉方向の動きをコントロール出来る様になったと解釈すべきだと私は考えました。


それがハンドダウンのアドレスのメリットです。


通常のアドレスに比べてハンドダウンに構えた場合、扇子の二本の親骨が作る角度は小さくなります。通常のアドレスより15度から20度くらい差が出るでしょうか?


それにより頂点を迎える迄(頂点では約90度)の変異量が少なく、親骨の開閉方向の動きが制御された状態で面を背中側に開いて(クラブを倒して)ダウンスイングのプレーンに預ける動作へと繋がるので、親骨の開閉をコントロールする作業をかなり省く事が出来ます。


通常のアドレスから親骨の開閉方向の動きを制御して頂点を迎えた場合、かなりコンパクトなトップ位置となってしまい、ボールを飛ばすのに十分な振りかぶり動作になりません(これがナダルのゴルフスイング)。


ボールを飛ばすのに十分な振りかぶり動作の為には、親骨の開閉方向の変異量を自分でコントロールしながら、ダウンスイングのプレーンへと面を開いていく二つの動作の統合が求められるので、ハンドダウンアドレスよりひと手間作業が多くなります。


この二つの動作の関係から、頂点からトップ位置への収まりを、この様に分類出来ます。


頂点→トップ位置

親骨の開閉の量:面の開きの量

小:大→クラブがターゲットの左を向く

大:小→クラブがターゲットの右を向く


となるので、ダウンスイングのプレーンに効率よくクラブを導くには、


親骨の開閉・小

面の開き・大


の組み合わせが有利となり、先に挙げた様に作業の手間数も少ないので、より再現性が高く効率のいいスイングとなります。


私がZOZOチャンピオンシップで見たフリートウッドのショートアイアンのコントロールショットがまさにコレ。フリートウッドはハンドダウンに構えませんが、左手がストロンググリップなので、扇子で言う親骨の開閉量を小さくコントロール出来ていると思われます。


渋野選手の場合は、身体的特性の猿腕や野球のバットスイングで鍛えた体幹の強さなどかあって、ハンドダウンアドレスのメリットが引き出せていると思うので、全てのゴルファーにとってハンドダウンのアドレスが有効という訳ではないです。


今回のシリーズは、扇子の舞をベースにして、ただ棒(クラブ)を振っているだけでは中々気づく事が出来ない三次元的なゴルフスイングの動きを理解して頂き、スイングの全体像を掴んで頂ければと言うのが、サムネイルゴルフ的視点です。


(画像がテキストの中に何度も登場する「テークバックの頂点」。ベッドが一番高いところに位置する時で、概ね左腕が地面と平行になるポジションと頂点がリンクする。)


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